第5-4日 Vol.116  子と離別して五十餘年説かず 【信解品第四】(二十二~二十八行)

法華経 信解品第四

 
★★ きょうの謎!
   
その謎1:貧窮の子の父親はなぜ我が子が家を出て行方不明であることを誰にも教えないで

     一人悩んで過ごしたのでしょう?
   
その謎2:摩訶迦葉らが釈迦に話したこの譬諭の話は、現実には生じ得ない寓話なのでしょ

     うか?
   

   
■■第5-4日 Vol.116
   
 子と離別して五十餘年説かず
 
 【信解品第四】
 (二十二~二十八行)
   
■■今日の一偈一句
 
 トキ ビング コ モロモロ ジュラク アソ コクオウ キョウリャク  ツイ ソ チチ ショシ シロ イタ 
 時に貧窮の子、諸 の聚落に遊び國邑に經歴して、遂に其の父の所止の城に到
 
    チチツネ コ オモ   コ リベツ  ゴジュウヨネン シカ イマ カツ ヒト ムカ  カク
 りぬ。父毎に子を念う。子と離別して五十餘年、而も未だ曾て人に向つて此の
 
 ゴト  ジ ト   タダミズカシユイ  ココロ ケコン イダ  ミズカ オモ   ロウク 
 如きの事を説かず。但自ら思惟して心に悔恨を懐いて、自ら念わく、老朽して
 
 オオ ザイモツ  コン ゴン チンポウ ソウコ ヨウイツ     シソク       イッタン
 多く財物あり。金・銀・珍寶、倉庫に盈溢すれども、子息あることなし。一旦
 
  ジュウモツ   ザイモツサンシツ  イフ  トコロ    ココ モッ オンゴン ツネ ソ コ
 に終沒しなば、財物散失して移付する所なけん。是を以て慇懃に毎に其の子を
 
 オモ  マタコ ネン  ナ   ワレモ  コ エ ザイモツ イ フ   タンネンケラク   マタ
 憶う。復是の念を作さく、我若し子を得て財物を委付せば、坦然快樂にして復
 
 ウリョ
 憂慮なけん。
 
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   1. 今 日 の 解 読 !  (苦)
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その頃に貧窮の子は、さまざまの集落をさ迷い多くの国や村々を通り過ぎ、遂に
 
その父の居城する街にやってきました。父は常に子のことを思っていました。そ
 
の子と離別して五十数年、その長い年月が過ぎ去ったが父は未だかつて誰かにこ
 
の事を相談したり教えたりすることは一度もありませんでした。ただ自ら思惟し
 
て心に悔恨を懐いて、自ら想うのでした、我は老朽したが多くの財物だけがある。
 
金・銀・珍寶などは、倉庫に溢れんばかりであるが、相続できる息子はいない。
 
自分が一旦死んでしまえば、これら財物は皆散失して委付する所などない。これ
 
がゆえに尚のこと心の底からいつもその子を想うのだ。今もまたこのように想っ
 
た、我はもし子を得て財物を相続できれば、ただそれだけが本望の快樂でありま
 
た何の心配ごともなくなるのだ、と。
    
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   2. 今 日 の 説 法 !  (集)
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五十数年来、家出していて各地をさ迷い続けた窮子が、まったく偶然なのか父が
仮に居城している街にとうとうやって来ていて、遂に父の城に到ったのでした。
   
父は五十数年の間、1日すら子の事を想わない日はありませんでした。
しかし、なぜなのか父は子が家出している事実を未だかつて誰にも相談したり打
ち明けたりしたことはなかったのでした。
   
父はただ自身だけでなぜ子は家出などしたのかを考えつつ、悔やんでも悔やみき
れない気持ちを抱いては、自ら想うのでした。
「我はだいぶ歳をとってしまったが、今あるのは多くの財宝だけである。だが、
これらを遺産相続する跡継ぎの息子はいない。自分がもしこのまま死んでしまっ
たとしても、これらの財宝は皆散失するだけで、しっかり委付する所などない。
だから尚のこと、しきりに我が息子のことを想うのだ」
   
たった今もこのように想った。
「我はもし子を探し出せて、この財物を相続できれば、それが何よりの本望の喜
びであり、他に何の悩みが生ずるものか」と。
   
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   3. 今 日 の 謎 !   (滅)
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まず、今日の謎を整理して見ることにしましょう!
   
その謎1:貧窮の子の父親はなぜ我が子が家を出て行方不明であることを誰にも
     教えないで一人悩んで過ごしたのでしょう?
   
その謎2:摩訶迦葉らが釈迦に話したこの譬諭の話は、現実には生じ得ない寓話
     なのでしょうか?
 


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法華経 序品第一

 

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 6. 今 日 の 振 返 り ! (脱)
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コメント: 3
  • #1

    ぶっけん成安田 (水曜日, 03 5月 2017 18:34)

    大弟子の摩訶迦葉たちは長年の恩師の釈迦に対し物語を創作して聞いてもらいました。
    それはたいそう現実離れしたような、はたまた実際にもあたかも有り得るような巧妙な物語でした。
    これを聞いた釈迦はこの大弟子たちの創った物語をその通りであると誉めました。
    しかし、この大弟子たちがどんな教えを物語にしたとしてもそれは仏の真実までは決して超えれない方便なのです。
    方便とは上手く信者を正しい道へ誘導してあげるための準備策であって、いかに喜びを湧かせるかの説法なのです。
    それに対し、釈迦はいずれ方便を捨てなさいと指導することになるのです。
    世の中の現実は物語ではありません。現実の厳しさに立ち向かう真実を忘れてしまっては取り返しのつかないことになるからです。

  • #2

    ぶっけん成安田 (水曜日, 03 5月 2017 18:35)

    四十余年は真実は語らず。

  • #3

    ぶっけん成安田 (火曜日, 05 9月 2017 14:28)

    親子が離別した土地に咲く珍しい木の実があります
    古代から神聖な木の実として伝えられています