第1-11日 Vol.11  豪華絢爛な巨塔、地中から出現 【見宝塔品第十一】(一~六行)

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■■第1-11日
   
 豪華絢爛な巨塔、地中から出現
 
  【見宝塔品第十一】
  (一行~六行)
   
■■今日の一偈一句
   
 ソ トキ ブツゼン ポウ トウ   タカ   ユジュン ジュウコウ  ユジュン ジ  ユジュツ 
 爾の時に佛前に七寶の塔あり。高さ五百由旬、縱廣二百五十由旬なり。地より湧出
 
   クウチュウジュウザイ シュジュホウモツ    コレ ショウキョウ     ランジュン  カンシツ マン 
 して空中に住在す。種種の寶物をもつて之を莊校せり。五千の欄楯あつて龕室千萬
 
    ムシュ ドウバンモッ ゴンジキ  タカラ ヨウラク タ  ホウリョウマンノク   ソ ウエ  カ 
 なり。無數の幢旛以て嚴飾となし、寶の瓔珞を垂れ、寶鈴萬億にして其の上に懸け
 
     メン ミナ タマラバッセンダン カ イダ   セカイ ジュウヘン  ソ モロモロ バンガイ
 たり。四面に皆多摩羅跋栴檀の香を出して、世界に充偏せり。其の諸 の旛葢は 
 
 キン ゴン ルリ  シャ コ  メノウ シンジュ   エ  ポウ モッ ゴウジョウ  タカ  テンノウ
 金・銀・瑠璃・シャコ貝・碼碯・眞珠・マイ瑰の七寶を以て合成せり、高く四天王
 
 グウ イタ
 宮に至る。
 
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  1. 今 日 の 解 読 !  (苦)
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その時に佛前に七宝の塔が現れていた。高さ、おおよそ300キロメートル、縦横おおよ
 
そ1500キロメートルにもおよぶ。地中より湧き出でて空中高くそそり立っている。
 
様々な宝物で覆われ、綺麗にこれを装飾せり。5000の玉垣があって納骨室は1000万な
 
り。数限りない旗や吹流しで豪華に飾られ、宝の花輪や色紐を垂らし、宝の鈴は億万
 
個がその上に懸けられ。塔の四方面へは皆タマ―ラ樹の葉や栴檀の香りをそよがせて、
 
世界中にその香りを漂わせり。その諸々の旗や吹流しなどの装飾は金・銀・瑠璃・シ
 
ャコ貝・碼碯・眞珠・マイ瑰の七宝で合成され、天高く、四天王の住む宮殿にまでに
 
とどく。
 
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  2. 今 日 の 説 法 !  (集)
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驚くべき巨大な塔がいきなり現れましたね。
それも地中から湧き出でるように天空まで伸び、鮮やかすぎるほどに宝飾が施されて
いるとは、なんとも不可解な巨塔です。
 
その巨大な塔はすべて七宝で飾られているという、はたして何の目的でこの豪華な娯
樂は用意されたのでしょう。
仏様の中でも釈迦はとっても大金持ちとわかりますが、まさかこれが釈迦の秘宝なの
でしょうか?
 
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  3. 今 日 の 謎 !   (滅)
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まず、今日の謎を整理して見ることにしましょう!
 
その謎1:この巨大な塔はどうして出現したのでしょう?
 
その謎2:こんな贅沢なものを声聞などに見せていいんでしょうか?
 

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  4. 今 日 の 知 識 !  (道)
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これは法華経の中でも最大な謎の一つになりそうですね。
 
また、この巨大な塔は今まで地底深くに隠されていたという、地底にも社会が存在し
ていたのでしょうか?
この塔は、どうやら化城諭品第七での化城そのもの或いはその位置に出現したとも考
えられますね。
化城は修行の人々を一時的に立寄らせて休ませてあげる目的で仮に作られたものでし
た。
ですから、この七宝の塔もまた人々の気持を和ませ、厳しく質素な仏教修行のなかに
意外性ある突発的な心理作用を図っているのかもしれないですね。
 
それにしても、この巨塔の披露はまったく人間のスケールを越えた唖然としてしまう
大胆不敵な演出ですね!
その高さ五百由旬、縦横二百五十由旬という距離は字解において、その一由旬という
単位は、例えば軍隊一日の行軍距離、或いは化城諭品での牛車の一日行程に等しく、
牛の声が聞こえる範囲ともされています。
その500倍、250倍ですから何百キロという天文学的数値になるのです。
これは新幹線で2,3時間はかかる距離です。
 
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ここまで豪勢な建物はどんな未来社会に於ても到底ないだろうという釈迦の途轍もな
い演出の狙いにはまったく誰もが圧倒されてしまいますね。
また、四天王という四大天王はこれくらい高い天の位置に住んでおられるのです。
 
その四人の大王とは須彌山という一つの世界の中心をなす大山の中腹の四方東西南北
に住する持國天皇・増長天皇・廣目天皇・多聞(毘沙門)天王です。
これは、日蓮聖人の書き表した本尊である曼陀羅の南妙法蓮華経の字の四隅にも書か
れているのがこの四天王なのです。
 
ところで、こんな豪華に飾られた建造物を見たさに肝心な仏様への信心や供養を忘れ
てしまったらどうするのかと、当然の疑惑が生じますね。
実は後でわかりますが、この塔の中には多宝佛という佛の舎利つまり遺骨が納められ
ているのです。
ですからちゃんと仏様の魂がこの塔には入っているのです。
しかし、それでも派手に豪華すぎて中の仏様よりも外見の華やかさに目や精神が奪わ
れがちなんですよね。
 
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実はここでちょっとお教えしますが、お釈迦様の故郷、古くインドでは、特に位の高
い人ほど、亡くなられた後はその遺骨は供養せず、ガンジス河へ流して、後にも遺骨
を残さないという伝統風習があったのです。
ちょっと驚きですね、何か冷たい感じがありますが、それが上流階級の死者への一番
上等な儀式だったのです。
 
意味がわかりますか? 何となく面倒臭かったり嫌味と勘違いしやすいですが、あの
世への崇高な信心のある民族ならではのとても進んだ考えとして理解しましょう。
 
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  5. 今 日 の 解 脱 !  (解)
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ところで、大金持ちに対する衆生の心理というものはある種共通のものがあると思い
ますね。
誰もが共通するのは、恐らく大金持ちへのあこがれ心理です。
それを逃すことなくズバリ的中させているのが釈迦佛法やこの法華経の特徴なのかも
しれません。
こういったお金持に対する共通パワーというものは神崇拝のキリスト教などにはない
ものだと思います。
 
百聞は一見にしかず、百聞は人其々に違えど一見こそ共通するのです。
これはこれから仏法信者になろうとする人のみならず、たまたま見た人まですべてを
仏法へ関心づかせていざなうという、万物への大勝負の見逃せない名場面です!
 
されど、この塔が現れたということは修行者達の修行がすでに適ったというご褒美の
娯楽提供とは少し違うようですね。
仏教は努力や修行して正しい因、つまり原因をつくり、その因がすばらしい果、即ち
結果をもたらすのです。
恐らく釈迦は、遠い先々の未来成仏の授記をあらかじめ弟子たちに与えて、その目標
を目指して今ある修行をがんばらせようとするのではないでしょうか。
 
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しかし、また少し別な考えもあります。
それは、やはり衆生の因果に関係してますが、因と果は相互関係にありまして、人の
一生は果に始まり因に終わるのです。
これはちょっと意外と思われるでしょうが、因果、つまり原因と結果とは各々前世と
現世、そして現世と来世とにまたがることで関係しあっているのです。
 
私たちはよく、一生涯に於て良い行ないの人は天国へ、悪い行ないの人は地獄へ死後、
行くといいます。
しかし、この法華経にはそれが死後のことではなく、生きながらにして地獄界や天界
などがこの世に存在しているとされているのです。
 
つまり、通常、私たちは死ぬとまた生まれてきます。どのように生まれてくるかとい
えば、前世の状態に応じたその結果で生まれてくるのです。
これは、前世は原因が作られて終り、その結果や成果が当世に現れて生まれてくるシ
ステムなのです。
そして、現世に於いては、生まれてきた結果に対しどのように生涯を生きたか、その
どのようにがまた原因となって来世の結果へと繰越しされていく繰り返しのサイクル
なのです。
 
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このように、因で終わって果で始まる人生を考えますと、この品の見宝塔を佛法上、
この現世に見せられた場合、前世を正しく生きた者と悪く生きた者とではどういう違
いが起きるでしょうか?
 
それは、前世を正しく生きた人は素直に褒美や賞賛と感じ、前世を悪く生きた人はた
だうらやましい、だがあまりにも幻のような計り知れない
ほどかけ離れた現実だと思う違いが生じるのではないでしょうか?
 
つまり、見宝塔をすべての衆生に披露して見せる佛の知恵とは、すべての衆生に同等
に同じ感覚を与えているのではないということもあるのです。
これは、同じ一つの物を提供し、万物様々な受け止め方や様々な効果を生じさせると
いうことです。
 
単純明快の知恵のようであって、かつ必ずその効果は様々に期待できる釈迦のこの大
胆不敵な手法は、案外現代の私たちが忘れて見失ってしまっている大事な手法なので
はないかと唖然として感心させられるだけなのです。
 
法華経は是非、この品から読み始めることがお勧めです。全体の意味を早くわかり易
くしてくれると思います。何事も、考えすぎるだけが良いことではありませんから
ネ・・・!!
 
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  6. 今 日 の 振 り 返 り !(脱)
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皆さんは釈迦の性質をどう思いますか?
私はこれほど長い人類の歴史の中、釈迦ほど人々、或いは衆生世界全般に好かれ続け
た存在はないと思えます。
法華経を学んでわかることは、釈迦とは仏様といえど、以外にもごく身近な頑固親父
のように類似した考えを示している方だということです。
 
これは実に法華経をほんの僅かでも注意深く読んだことがない人には、ほとんど勘付
くことができないことだと思えます。
 
はっきりいって、身近なお寺の住職さんなどの説法に出てくる全国どこでも共通なお
釈迦さまの話やイメージとは、実際の法華経の中に生きている釈迦とどことなくはっ
きり違うようであることにお気づきですか?
 
それは一体どういうことなのでしょう?
私たち実際の直に法華経に目覚めた者は本当に恵まれていると思いませんか?
こんなありがたい真実の教えが本当は世間には語られたためしもない聞いたこともな
い、こんな滅相もない不可思議な時代に私たちはただ目を瞑って暮らしているのです。
 
いかに早く、わかりりやすくが法華経の重大な目的であるのです。
何事も行動しましょう! 正しい行動の結果はすぐ目前にあるのです。
 
 
今回も読んでいただき、誠にありがとうございました。
末永くご愛読いただけますよう、今後とも何とぞよろしくお願いいたします。
 
  (ぶっけん)
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